こんな活動しています topics

このエントリーをはてなブックマークに追加
滋賀森林インストラクター会では、こんな活動をしています
 青字または紫色をクリックするとpdf資料が表示されます。

topics

《令和6年度 活動実績》


令和6年度 緑の少年団指導者研修(緑の少年団サポート事業)
                                報告 森上 記子



私たち、滋賀森林インストラクター会のメンバーは、県の緑化推進会より委託を受けて、「緑の少年団地区別指導者研修会」に講師として参加しています。
今年度も8回の研修会が各地域の施設において実施されております。
その中で、今回は、守山市にある「びわこ地球市民の森」(7月28日)での様子をご紹介します。
この日は、団長さんをはじめ、17名の指導員さんが参加されました。
まずは、センター長さんより、「びわこ地球市民の森」についての説明がありました。
その後、事務局より、「緑の少年団育成強化事業」における実施上の留意事項などが話されました。

今年度も、講義からスタートし、「森林機能」について、パワーポイントを使って話を進めました。
森林の8つある機能の中から、「水源かん養」と「土砂防止災害機能」と「快適環境形成機能」の3つを取り上げ、今課題となっている、森林における生態系のあり方や豪雨災害などともつなげながら、話を進めました。
滋賀では、今年に入って伊吹山で二度にわたって土砂の流出があり、みなさん真剣な表情で視聴されていました。
さらに、森林の機能を発揮させていくための、「伐る・使う・植える」の循環の必要性を示したことで、今後の森林とのかかわり方につなげることができたように思いました。
受講者の方々の感想にも「子ども達にも森林の維持の大切さを教えていきたい。」「森林を守っていくことの大切さを伝えたい。」などの思いが書かれていました。



屋内レクリエーションでは、クラフトに「がりがりプロペラ」を取り上げました。
来年3月に開かれる交流会の折りに、子ども達に体験させたいクラフトを前もって指導者の方に体験してもらうことも兼ねての試みでした。
初めに、「自分と反対の方向に削り出す」など小刀の扱い方や作り方をパワーポイントで提示し、さらに、実際に回すところを見せますと、大変興味を示され、意欲的に楽しんで取り組まれました。
若い世代の方は、小刀を使うという経験は、ほとんどありません。
いざ、削り出しますと、持ち方や押し出して削るといった削り方をアドバイスしながら、進める場面もありました。



凹凸になったところをガリガリとこすって、プロペラが回り出すと、歓声をあげられ、私たちも一緒に喜び合う温かなひと時となりました。
そして、最後には、各グループから、お一人代表で皆さんの前で、できばえを披露していただき、拍手をし合いました。
本番では、小さい学年の子ども達も参加されますので、そうしたバージョンの作品も提示しました。



屋外レクリエーションでは、ネーチャーゲーム:「はっぱジャンケン」をしました。
昨年度、滋賀県主催の「自然体験講座 実践プログラム」に参加して、実際に体験してきたものを実施させていただきました。
まず、3人組をつくります。林内で、各自が5種類の葉を紙袋に拾って来ます。
皆がそろったら、リーダーの条件(「一番長いと思う葉」など)に合う葉を選んで、3人で見せ合い、条件に一番ぴったりの人がその葉を皆に見せます。
「おしゃれな葉」のときには、その葉のおしゃれさを皆に伝える時間をとるなどしました。



ネーチャーゲームでは、初めて顔を合わす人もいる中で、自分のはっぱのよいところを嬉しそうに話されました。
皆が安心して楽しめるゲームとして、各団での活用が期待できそうです。
今回は、猛暑への対応として、林内では葉を拾うことだけにとどめ、その後の展開は、室内で皆が集まれる場所を確保して行いました。
よって、秋など季候のよい時には、色とりどりの葉を集めてきて、野外で思い切り楽しんでいただきたいとお伝えしますと、なるほど・・・という表情をされていました。



今回もみなさまのご協力によって、指導者研修会における滋賀会の役割分担を終えることができました。
指導者のみなさまがそれぞれの団において、子どもたちと自然とのかかわりを、安全に配慮されながら、楽しく進められることをお祈りいたします。


2024年度 林業体験活動(第一回)報告
                      担当 前田 康弘 報告 森上記子
日 時 :令和6年5月11日(土)
場 所 :高島市朽木生杉 (「タネプロ」の借地)
内 容 :植樹、ポット苗、鉢替え等・・・午前中
    周辺の山林散策、広葉樹林造成の談話等・・・午後
参加者: 「タネプロ」から9名 滋賀森林インストラクター会から9名

このたび、滋賀会では、新たな研修として、「林業体験活動」に取り組むこととなりました。
この活動は会員の清水 美里(しみず みさと)さんが代表をされている「タネカラプロジェクト」(略して、「タネプロ」)の作業に参加するものです。
「タネプロ」が目指す森づくりとは、地域の生態系を構成する植物群落を再現し、次世代を担う後継樹、親木を育成することで、当該域の更新を後押しするものです。

よって、「タネプロ」の苗木は周辺の山から種を採取し、それを育てたもので、正に地産です。
地元の木で、生物多様性の森を造成することができれば、どんなにすばらしいことか。
しかし、どの苗を、どんな間隔で、何本を植え付けするのが適正か・・・?
スギ、ヒノキなら多少の心得のある会員はいますが、広葉樹の造林に関しては国内で未だ確立した技術がありません。
そうした未知の可能性に向かって、「タネプロ」の方々と共に、模索しながら造林活動をしていこうと、初夏の日差しのもと、第一回目が行われました。

互いの顔合わせをした後、地域の子どもたちも加わって拾い集められた種を発芽させて、育てている様々な種類の苗木のあるところに移動しました。

大きなスギとケヤキが並んで立っている木の下は、直射日光が避けられ、幼樹が育つには最適とのことです。

苗木を育てるために、まずは、大きなトレイで、いくつもの種子を発芽させます。
少し育ったら、一つひとつのポットに分けて育てます。
さらに、苗木が大きくなると、さらに大きなポットに入れ替えていきます。



その中に、葉が黒ずんでシワシワになっているのがいくつか、目にとまりました。

なんと、先日の、急な冷え込みの朝に、霜でやられてしまったそうです。
その朝の気温は、2度まで下がっていたと聞きました。

そこから、本日植える苗木を運び出し、山の斜面の下に移動しました。




その斜面は、伐採された後、植林されていないため、崩落の心配も出てきているとのことでした。しかも、ここでもシカの食害がひどく、植林するところは、柵でしっかりと取り囲まれていました。
高さもある、頑丈な柵を用意されたとかで、そうしたことにも労力を使わなくてはならない現状を目の当たりにしました。

その柵の手前は、シカが食べない「イワヒメワラビ」がびっしりと生えていました。
また、柵のすぐ外側を流れる沢の辺りに、シカの通り道を発見しました。爪の跡もしっかりと残っており、厳しい現実がさらに伝わりました。


苗木を植える前に、柵内の植生を確認することになりました。
どんな種が飛んできて、または、鳥が糞と共に種を落としたことで、芽を出しているのだろうか?野草は、どんなのが生えているか?みんな、興味津々でさがしました。
すぐ近くに生えている「オオモミジ」の種が飛んできて、しっかり芽を出していました。
「クリ」もいくつも芽を出して、育っていました。
スミレの仲間は、「ツボスミレ」をはじめ、種々のスミレが見つかりました。

予想以上に、たくさんの植生が育っていることがわかりました。

今回、植える樹種は、この地域の潜在自然植生に基づいた、落葉広葉樹の「トチノキ」、「キンキマメザクラ」、「ウワミズザクラ」、「タニウツギ」、「ヌルデ」などでした。
「ヌルデ」は、先駆種として、選ばれました。
どの樹種も、成長が早く、葉をたくさんつけて、樹冠も広がるものです。
こうした樹種を植えることにより、日陰ができ、土中の水分を保持できる環境がつくられていきます。

植樹の方法として、1本ずつ単独で植える。
育ち具合を見守るということで、同じ樹種を2本とか、3本セットで植えてみる。などがありました。
3年ぐらいたっている苗を植えました。

苗木を植えるさいに、伐採された木の根っこが残っていたりもするので、まず、つるはしで、土を穿ち、さらにスコップで深く掘ります。
その際、掘り起こした土を決まった場所に積み上げ、その土をもどすように、注意を払わなければいけません。

植えて土を戻したあとは、幹の周りの土をしっかりと踏み固めます。

植えると、苗木に番号をつけ、高さを測って記録しました。

急な斜面での植え付けとなると、まず足場を確保し、姿勢を保つのが大変でした。

1本だけ、5年以上の幹がしっかりとした「トチノキ」があり、それは、斜面下の柵の入り口の脇に、植えました。
まるで、苗木たちの成長を見守ってくれるようです。


間隔を開けて、柵内に今回、選ばれた苗木がおさまりました。
大木の下での守られていた苗木たちは、本日より、日光や風雨が直に当たる日々となります。
次回の活動の折りに、どのように育っているかが、楽しみです。
次回は、苗木の周りの草刈りなどの作業が待っています。

午後からは、あらためて、「タネカラプロジェクト」の構想を清水美里さんから聞きました。
書面の中の一文に、清水さんの思いが凝縮されています。
「タネから始まる命の循環、 タネから関わる森作り。 
その楽しみを多くの仲間と共有し、次世代へと発信したい。
未来に向けた実に息長い プロジェクトである。」

最後に、近くの山林を皆で散策しました。
「ヤマナシ」の実がふくらみかけていました。
宮沢賢治の「やまなし」には、香りのよさが書かれていましたので、実が熟したら、確かめてみたいです。

林道脇の沢の向こう側に「ズミ」の大木があり、白い花が満開でした。

短い時間でしたが、様々な植生と出逢えました。

1日を通して、本当によいお天気に恵まれ、第一回目の林業体験活動を無事、終えることができました。
次回の活動は、9月を予定しています。


《令和5年度 活動実績》

2023年度の定例研修会を総括して

                             研修担当 小西 民人

今年度は、竜王町の鏡山山腹に於いて、今まであまり研修対象として取り上げてこなかった、貧栄養の花崗岩地に見られる植物やそこに生きる虫たちに焦点を当て、定例研修会を行うこととしました。
鏡山周辺は、後期白亜紀の野洲花崗岩からできていて、風化浸食が進み、山腹では細かい谷が刻まれ、植生に乏しい悪地形(バッドランド)が発達、表層が真砂化しているような場所です。
そのような場所には、見上げるような高木はなく、アカマツ・コナラを中心とした里山林とその周辺の湿地性の植物群が見られ、それらが今年度の研修対象となります。
今年度は、6月に県外研修会を実施するという計画もあり、例年の隔月実施という原則から外れて、年4回の計画を立てました。
一般の参加者も少しあり、それなりに充実したように思います。
また、第4回研修会については、私の入院が原因で下見のみとなりましたが、一応、下見の報告も載せておきます。
以下、4回分の研修の一部の写真を載せます。詳細はHP掲載の報告をご覧ください。
① 第1回4月23日(日) 竜王町鏡山/鳴谷コース(報告;関澤)
下見 4/17 平田、森上、小西(2)
参加者5名(高橋、水田、関澤、平田輝(一般)、小西)

ヨツボシトンボ


ハルリンドウ


ヘビノボラズ


② 第2回5月28日(日) 竜王町鏡山/鳴谷コース・大谷池周辺(報告;高田)
下見5/20 野村、橋木、小西
参加者10名(高橋、梶谷、平田(3)、高田、関澤、冨田(2;一般)、小西)

イシモチソウ


タツナミソウ


クロミノニシゴリ


③ 第3回8月27日(日) 竜王町鏡山/鳴谷コース(報告;平田)
下見8/19 橋木、森上、小西
参加者7名(高橋、平田、高田、水田、高森(一般)、冨田(一般)、小西)

ガガイモ


サギソウ


キキョウ


④ 第4回10月29日(日) 竜王町鏡山/鳴谷コース・大谷池周辺 中止(報告;なし)
下見10/21 関澤、小西

センブリ


スイラン


クロミノニシゴリ


まとめとして、今年度に確認した湿地性植物などや昆虫の一部を列挙すると、
① 食虫植物 イシモチソウ、モウセンゴケ、トウカイモウセンゴケ、ミミカキグサ、ホザキノミミカキグサ、ムラサキミミカキグサ
② シダ植物 ヤチスギラン、ヒモヅル、ミズスギ
③ 他の草本 ハルリンドウ、カキラン、サルマメ、サギソウ、ヒナノカンザシ、ワレモコウ、コバナノワレモコウ、アイナエ、イガクサ、キキョウ、サワシロギク、リンドウ、イヌノハナヒゲ、イトイヌノヒゲ、キセルアザミ、サトヤマハリスゲ、スイラン、センブリ、タツナミソウ
④ 樹木   ヘビノボラズ、クロミノニシゴリ、ウメモドキ、ザイフリボク
⑤ 昆虫   トンボ類として、ヨツボシトンボ、ハッチョウトンボ、キイトトンボ、コサナエ、ムカシヤンマ、サラサヤンマ

令和5年度 緑の少年団指導者研修(緑の少年団サポート事業)
                                報告 森上 記子

私たち、滋賀森林インストラクター会のメンバーは、県の緑化推進会より委託を受けて、「緑の少年団地区別指導者研修会」に講師として参加しています。
今年度も8回の研修会が各地域の施設において実施され、最終回は、「河辺いきものの森」で行われました。
この日は、団長さんをはじめ、12名の指導員さんが参加されました。
「緑の少年団育成強化事業」の説明の後、今年度は、まず前半、「野外活動における安全管理」について、パワーポイントを使って講義をしました。
2年前にもこのテーマで依頼を受けましたが、今年度は新しくリーダーをされる方が多いということもあり、再度この内容でということになりました



「リスク」と「ハザード」の違いを説明し、「リスクマネージメント」の手順を説明していく中で、実施例(夏の定例行事のハイキング)を織り込んで話を進めていきました。
KYTシート(危険予知トレーニング用のシート)も活用しました。
そのことに関連して「子どもに活動当日、現地で説明しても、目新しい物に興味・関心が向いてしまい、しっかりと話を聞くことができにくい。そこで事前に子どもたち自身もKYTシートを見てリスクの発見に取り組むことは大変意義があり、少年団活動において取り入れたい。」という感想をいただきました。
団の子ども達の様子とつなげながら、熱心に受講していただけたことと思います。
下見も含めて準備の段階から、当日の細かな点検やその都度の判断まで、指導者側の共通理解のもと、活動を進めていくことで、実りある体験ができるということを、私たちも共に、再確認させていただく時間となりました。



その後、野外に出て、ネーチャーゲームの一つである、「サウンドマップ」を体験してもらいました。
林内にたたずんで聞こえてきた音を白い紙(中心に自分の目印)に、線などでどんどんかき込んでいきます。
音によって、線の描き方は自由です。
この日は、もう夏の終わりでしたので、「つくつくぼうし」の大合唱。
そこに、カラスも負けじと加わります。
かすかな「チチチ・・・」といった鳥の声。
みなさんの音をさがされる一心な姿が今も目に浮かびます。
「楽しみながら、自分の感受性を高める活動をもっとしたい。」とネーチャーゲームに対する意欲的な感想をもいただきました。
今回は、場の設定が午後の河岸林の中でしたが、一日の時間によって、天気(雨、風など)によってなど様々な楽しみ方があることもお伝えしました。



その後、河辺いきものの森の植生の観察をしながら、危険な植物や生き物の説明も加えて歩きました。
既に、「スズメバチ」のために立ち入り禁止区域にされている所もありました。
ここの植生に関しては、鈴鹿山系からの土砂の流出の際に、種が流れついて、芽吹いたものが根付いたとものもるということを「林遊会」方からお聞きし、その保全に会のみなさんが努力されてきて、今にいたっています。
このような林内で「この植物、初めて見ました!」などの感動もある中、他の団の方とも交流される姿も見られました。



今回は、野外に出ての活動となりましたが、後半の活動を屋内でのネイチャークラフトを実施した研修会もありました。
用意したのは、小さな木の枝で「モックン」を作ろうです。
木の枝の様子をじっと観察して、どんなものに見立てようか?顔にするなら、目(動眼)をどこにつけようか?お口は?とどんどん想像・創造力を膨らませていきます。
仕上がりは、キーホルダーにすることが多いのですが、みなさん、気合い十分に取り組まれ、一人ひとり味わいのある作品が仕上がりました。
参加者の方にとっては、初対面の方もいる緊張した中での作業でしたが、最後に互いの作品を照れながら紹介し合うときには、拍手や笑顔も出て温かい雰囲気の中、活動を終えられました。

《令和4年度 活動実績》

topics

令和4年度 緑の少年団活動交流会
                                 報告 森上 記子
県内の緑の少年団が集まり、交流を深め合うことにより、さらに活発で有意義な緑の少年団活動につなげることを目的として、去る令和5年2月25日(土)に、守山市の「びわこ地球市民の森 森づくりセンター」において「緑の少年団活動交流会」(滋賀県緑化推進会主催)が実施されました。
今年度は、県内から4団体、団員をはじめ指導者や保護者約50名余りの他、スタッフ十数名(内、滋賀会8名)が一堂に会して、楽しく有意義な1日を過ごしました。
私たち滋賀森林インストラクター会も、かねてより支援活動の一環として本事業に携わり、午前中の「自然観察及びネイチャーゲーム」と午後からの「ネイチャークラフトづくり」の指導を担当しました。

始まりの会の後、雪がちらつく中、対岸の雪をいただいた比良の山並みを見やりながら、「発見ビンゴ」を使っての自然観察を開始しました。
今回のビンゴには、16枚の写真があり、すべて見つけられれば、10回ビンゴ達成となります。この時期なので、林内での花は、「スイセン」と「ヤブツバキ」など限られていましたが、センターの前庭あたりに植樹された「四季桜」(マメザクラとエドヒガンが交雑した種間雑種)の蕾が開き始めたところで、「ビンゴ」に加えることができました。
秋から冬と春に開花する品種だそうで、枝の先の薄いピンク色の小さな花を子ども達はしっかり見つけることができました。

また、生き物との関連では、「モグラ塚」や「イラガの卵」、「鳥の巣」(おそらく、カラスであろう)などが、ビンゴに入っており、地面の様子を見たり、木々の上を見たりと大忙しでした。また、ビンゴに加えていませんでしたが、切り株の上にキツネの糞がのっており、フイールドサインのことも伝える機会を得ることができました。
さらに、この森には、ふだん目にしない「ナラガシワ」も何本か植樹されています。落ち葉を手にして、「かしわ餅」のことを話し、次に葉に穴をあけてお面にして見せると、自分の顔につけてみて、葉の大きさを感じ取っていました。
この森には、シイタケのほだ木も並べられており、種駒から発芽している様子が見られました。
これもビンゴ以外でしたが、キノコを介して間接的に樹木の栄養をもらっているというお話をしました。
ちょうど、子ども達の足下に、ほだ木の役割を終えて朽ち果てていく木片がころがっており、こうした実物を見ることで、分解者としてのキノコの存在をより感じ取れたことと思います。
これが、フイールドに出る良さだと実感しました。

午後からは、木のブンブンごま作りに取り組みました。
こちらであらかじめ輪切りにした木片を用意しましたが、実際に幹をノコギリで切ってから作る体験もしてもらおうと、市民の森で間伐されたクヌギなどの木切れも用意しました。
木はかなりの堅さで、スタッフがしっかりと押さえる中、子ども達は、両手でノコギリを握って、一生懸命切っていました。ノコギリで木を切る経験が初めての子どもにとっては、貴重な体験となりました。
穴の方は、キリでは、ギザギザが残ってたこ糸が引っかかってしまいます。
よって、電動ドリルでスタッフが位置を決めて穴を開けました。
自然木は、断面が整った円ではありませんので、子ども達は、模様などを描いた後、回してみますが、一回目での成功はなかなか難しいようでした。
私たちスタッフも加わりながら何度かチャレンジし、成功したときは、互いに喜び合う光景があちこちに見られました。
材質が木のため、ブーンブーンと奏でる音色は優しく響きます。
「いつまでも、回していたい」
ある子がぽつりとこぼしました。「うーん、わかる、わかる」と心の中でニンマリとしました。
学校などで、厚紙や牛乳パックで作った経験はあると思いますが、自分で木を切っての、ビュンビュンごま作りは、緑の少年団ならではの、活動となったことと思います。

コロナ禍のために、ようやく開催できた今回の交流活動でしたが、森林インストラクターとしてこの事業に参加し、自然観察やネイチャークラフトづくりの活動を通して、発見や驚きや成功のたびに目を輝かせて、歓声をあげる子ども達の姿に出会えることができました。
感動と明日への元気をもらい、無事に活動を終えられたことに感謝して、地球市民の森をあとにしました。
近畿連絡会研修会(会報・第31号 へのリンク)

 黒河林道(近畿連絡会研修会2022.11.20)
                                  報告 高橋 優
11月19~20日(土日)に滋賀会主催で近畿連絡会研修会を開催しました。
コロナウイルスの流行のため、2年間開催を中止せざるを得なかったイベントです。
コロナの流行は収束していませんが、死亡率の低下や地域経済への影響が考慮され国や県からの行動制限が見直されたため、3年ぶりに研修会を開催することになりました。
研修場所は湖西高島市のビラデスト今津と高島トレイル黒河峠。
それに伝統産業の扇骨製作と針江地区の川端(かばた)の見学を研修に加えました。
研修の内容は研修担当の小西理事が企画し、準備にもリーダーシップを発揮していただきました。
また、高島が地元の谷口会員、梶谷副会長など黒河林道の整備や配付資料収集に助けていただいています。
研修会の参加者は1日目のみの参加を含め34名。
近畿各地の森林インストラクターの方も各府県の事務局を通じて参加の応募があり、なんとか開催にこぎ着けました。
〇1日目 すいた扇子

2.扇骨の日干             3.扇骨磨きの実演を見学 
扇骨の磨く前と後を触らせてもらい、仕上がりの滑らかさに驚かされました。
〇針江地区のかばた見学

針江地区では、西にある比良山系に降った雪や雨が伏水流となって地下10~20mに流れていて、鉄管を打ち込むと清らかな水がコンコンと湧き出てきます。
水温は1年を通してほぼ14℃。
この水を飲料や炊事といった日常生活に利用していて、そのシステムを「かばた(川端)」と呼んでいます。
〇ビラデスト今津

セラピーロード          平池(だいらいけ)
宿泊施設の「ビラデスト今津」で夕食の後に親睦交流会を設けました。
コロナ禍のため開くことができなかった近畿連絡会の研修会でしたが、ようやく開催され参加できたことを嬉しく思うと感想を述べられた方もおられ、主催者側として苦労が報われました。
交流会に最後まで残った参加者で琵琶湖周航の歌を声を合わせて歌いました。
佐々木会長のハーモニカ伴奏、梶谷副会長のリードでささやかな合唱会となりました。
〇2日目 黒河林道
2日目は紅葉真っ盛りの黒河林道、黒河峠を散策しました。

4班に分かれて自然観            どんぐり(ミズナラとブナ雑種)
〇マキノにて

10.メタセコイア並木
黒河峠散策後、近江の新名所マキノのメタセコイア並木を見ていただきました。
日曜日とあって一般の観光客で混雑していましたが、赤茶色に紅葉したメタセコイアを土産話にしてもらえたら幸いです。
研修はJRマキノ駅で解散。
佐々木会長から参加者のみなさんへ挨拶とともに感謝の言葉でしめくくりました。

《令和3年度 活動実績》


topics

令和3年度第第3回県立きゃんせの森
/奥伊吹(姉川上流域の巨木・山村文化)研修会
(米原市旧山東町・旧伊吹町)
2021.10.24

報告 下川 茂

研修先 県立きゃんせの森(午前)、奥伊吹の巨木・ふるさと伝承館(午後)
行 程 県立きゃんせの森10:00~13:00➞上板並(乳銀杏)13:10~13:45➞吉槻(カツラ)13:55~14:05➞甲津原(伝承館)14:25~14:45➞きゃんせの森15:25(解散)
参加者 10名
概 要 午前中は、県立きゃんせの森内のドングリが実る落葉広葉樹・常緑広葉樹を中心に観察を行った。(詳細はこちら
午後からは、県道40号線沿いの姉川上流域をさかのぼり、上板並地区の銀杏巨木、吉槻地区のカツラ巨木の甲津原地区(山村文化資料館)の順に各々見学を実施した。


県立きゃんせの森
昭和50年の第25回全国植樹祭お手播き会場。既存の森に加え150種類、1000本程の樹木を植栽。
その際、冷温帯・中間温帯・暖温帯等の気候区分(ゾーン)ごとに分類し、各々の代表的な樹木を展示林として植栽してある。





第25回全国植樹祭(昭和50年)を記念したモニュメント。


その際の記念のヒノキが今も広場に3本残る。


平成30年6月29日の午後に当地付近で発生した竜巻(強さJEF2、風速 65m/s)により、きゃんせの森内でも多数の樹木が折損した。
その爪痕は3年後の今も残る。

名称 諏訪神社の乳銀杏(米原市上板並)


樹高 33m、幹囲 6.9m、県の幹周順位2位、推定樹齢 300年以上
樹高・幹囲・推定年齢は、環境庁「日本の巨樹・巨木林 近畿版」(1991)による。
イチョウの大木からは、約20本の気根(乳柱)がぶら下がっている。米原市の指定文化財に昭和46年指定(天然記念物)されている。
新たに、平成30年滋賀県緑化推進会から、「淡海の巨木・名木次世代継続事業」の第47号に認定された。

「乳銀杏」から「吉槻のカツラ」へ。路上の落ち葉からは「マルトール」の甘いカラメルの匂いが漂っていた。

名称 吉槻のかつら(米原市吉槻)


樹高 16m、幹囲 8.1m、県の幹周推定順位5位、推定樹齢 1,000年以上
(現地説明板より)
樹高・幹囲は、環境庁「日本の巨樹・巨木林 近畿版」(1991)による。
カツラの木は、県道40号線から集落に30m程入ったところにある。この坂は、地元では「桂坂」と呼ばれ旧伊吹町の民話『いろりばた』にも登場している。
吉槻地区のシンボルツリーとして住民から大切にされてきた。
滋賀県「自然記念物」に指定されている。

「吉槻のカツラ」から「奥伊吹ふるさと伝承館」(資料館)
江戸時代から現在地に残る入母屋造りの茅葺民家(越前Ⅲ型)。


内部には、甲津原地区の特産物の「麻織物」の道具類や厳しい山村の暮らしを支えた生活用具等が展示されている。


隣村曲谷産の石うす




甲津原を含む4集落(甲津原・曲谷・甲賀・吉槻)は、平成26年度に「東草野の山村風景」として国の「重要文化的景観」(=重要文化財)に登録されている。

今回の第3回研修は、午前中のきゃんせの森での自然観察に加えて、午後からは奥伊吹地域に出かけて、古くからある山村地域の自然や生活文化の一端に触れようと計画しました。

*ドローン撮影。(上萩 寛)


《令和2年度 活動実績》

topics

令和2年度第2回研修会(東近江市奥永源寺の相谷・愛知崖)
2020.6.6(下見)、2020.6.28(本番)

報告者 小西 民人

相谷・愛知崖周辺の地図   


参加者 6月6日 6名 6月28日本番 6名
下見は相谷と愛知崖の2地点で予定通り実施しましたが、本番予定の6月14日はあいにくの雨で延期、2週間後に愛知崖に絞って実施することができました。
多くの樹木に出会え、確認できた樹木は、愛知崖だけで低木やつる性の木本も含めて2日間に120種。
まだ何種類もありそうで、あの限られた狭い範囲に草本も合わせると200種以上の植物が生育している様に思います。
 
確認の樹木の詳細は、アカネ科(ヘクソカズラ)、アケビ科(アケビ)、アサ科(エノキ)、アジサイ科(イワガラミ、ウツギ、コアジサイ、ノリウツギ、ヤマアジサイ)、アワブキ科(アワブキ)、イラクサ科(コアカソ)、ウコギ科(タカノツメ、タラノキ、ハリギリ)、ウルシ科(ツタウルシ、ヌルデ、ヤマウルシ)、エゴノキ科(アサガラ、エゴノキ、オオバアサガラ)、カキノキ科(カキノキ、リュウキュウマメガキ)、カバノキ科(アカシデ、イヌシデ、オオバヤシャブシ、クマシデ、ヒメヤシャブシ)、ガマズミ科(ガマズミ、ニワトコ)、キブシ科(キブシ)、キョウチクトウ科(テイカカズラ)、キリ科(キリ)、クスノキ科(アブラチャン、カゴノキ、カナクギノキ、クロモジ、シロダモ、シロモジ、ダンコウバイ、ヤブニッケイ)、クルミ科(オニグルミ)、クワ科(イタビカズラ)、コミカンソウ科(コバンノキ)、サルトリイバラ科(サルトリイバラ)、シソ科(クサギ、ムラサキシキブ)、ジンチョウゲ科(オニシバリ)、スイカズラ科(スイカズラ、タニウツギ)、ツツジ科(アセビ、トサノミツバツツジ、ヤマツツジ)、ツヅラフジ科(アオツヅラフジ、オオツヅラフジ)、ツバキ科(チャノキ、ヤブツバキ)、トウダイグサ科(アカメガシワ、シラキ)、ニガキ科(ニガキ)、ニシキギ科(ツルウメモドキ)、ニレ科(ケヤキ)、バラ科(アカメモチ、ウワミズザクラ、エビガライチゴ、カスミザクラ、クサイチゴ、クマイチゴ、ナガバモミジイチゴ、ナワシロイチゴ、ニガイチゴ、ノイバラ、フユイチゴ、ヤマザクラ、ヤマブキ)、ヒノキ科(スギ、ヒノキ)、フサザクラ科(フサザクラ)、ブドウ科(サンカクヅル、ツタ、ノブドウ)、ブナ科(ウラジロガシ、クリ、コナラ、シラカシ)、マタタビ科(サルナシ、マタタビ)、マツ科(アカマツ、モミ)、マツブサ科(シキミ、マツブサ)、マメ科(イタチハギ、キハギ、ジャケツイバラ、フジ、ユクノキ)、ミカン科(カラスザンショウ、サンショウ)、ミズキ科(クマノミズキ、ミズキ、ヤマボウシ)、ミツバウツギ科(ゴンズイ、ミツバウツギ)、ムクロジ科(イタヤカエデ、イロハモミジ、ウリカエデ、ウリハダカエデ、オオモミジ、オニイタヤ、コハウチワカエデ)、モクセイ科(アオダモ、ヒイラギ、マルバアオダモ)、モクレン科(タムシバ、ホオノキ)、モチノキ科(アオハダ、ソヨゴ)、ヤナギ科(アカメヤナギ、イイギリ、コゴメヤナギ)、ユズリハ科(ユズリハ)、リョウブ科(リョウブ)。  以上、49科120種。
 
今回の研修は、マメ科のユクノキの花を確認するということがメインでしたが、何年かに一度しか開花しないということで、昨年に続いて今季も未開花で終わりました。
一昨年は沢山咲いていたので、来年か再来年に期待してこの地での研修を計画できればと思います。
ユクノキの開花が見られなくとも、この地はほぼ植林もなく、昔ながらの里山の状態が維持され、暖温帯から中間温帯に見られる樹種が多く生育する、多様性に富んだよい環境と感じました。
アップダウンが少なくて比較的歩きやすいので樹木の研修場所としては優れていると思います。
難点はヤマビルの生息地であることです。
本番の日には、いくつも近寄ってきましたし、実際二人の方が被害にあいました。
ヤマビル対策がここで研修する上で一番の留意点と感じました。
また、ヤマビルの存在はシカ等がいるということで、シカの嫌いな有毒植物や刺のあるもの、臭いの強いもの、食感の悪いものなどが見られました。
特に、鋭い逆刺を持つジャケツイバラや有毒のマルミノヤマゴボウなどが目立ちました。
愛知崖を中心に、下見で訪れた相谷も含めて下見と本番両方で確認し撮影したものを掲載して報告とします。
 
写真報告目録:写真は令和2年度第2回報告書に掲載
《相谷》
ヤマイバラ(バラ科バラ属)/サンカクヅル(ブドウ科ブドウ属)/ヤブムラサキ(シソ科ムラサキシキブ属) /キアシドクガ(ドクガ科)食草ミズキ等 /ジクホコリ(変形菌ジクホコリ属) /左を拡大したもの /
《愛知崖》
イワガラミ(アジサイ科アジサイ属)装飾花は1枚 /ミツバウツギ(ミツバウツギ科 〃 属) 果実は袋果 /オニグルミ(クルミ科クルミ属)装飾花は1枚 /ムラサキシキブ(シソ科ムラサキシキブ属)未成熟の果実、今年は生り年?花も紫 /ミズキ(ミズキ科ミズキ属) 葉は互生 /クマノミズキ(ミズキ科ミズキ属)葉は対生 /オカトラノオ(サクラソウ科) /オオハンゲ(サトイモ科) /オカタツナミソウ(シソ科) /ジャケツイバラ (マメ科ジャケツイバラ属) /ジャケツイバラの若い果実、 かなり成長した果実 /
アサガラ(エゴノキ科アサガラ属) 花はオオバより早い、横広につく /オオバアサガラ(エゴノキ科アサガラ属)花は縦長につく /果実 /ユクノキ(マメ科フジキ属)の幼木 、奇数羽状複葉の小葉は互生につく /サンショウ(ミカン科サンショウ属)/エビガライチゴ(バラ科キイチゴ属) /アワブキ(アワブキ科アワブキ属) /イイギリ(ヤナギ科イイギリ属)雌雄別株でこれは雌株 /雌花、丸い子房の根元に退化した雄蕊が覗く、本番で見た若い果実 /アカメガシワ(トウダイグサ科アカメガシワ属) /キブシ(キブシ科キブシ属)、もうすぐ終了 /
蓼畑を望む

令和2年度第回研修会(長浜市余呉町中河内) 2020.4.29
 報告者 高田 裕美子

【日程】北陸自動車道木之本IC前セブンイレブン前 集合 午前9時30分 出発 午前9時55分 
   ⇒ 帰着 午後2時25分 所要時間4時間30分



【参加者】4名

【出会った植物】
○廣峯神社出発
ブナ林


○庄野嶺越え
ニオイタチツボスミレ(スミレ科スミレ属)

 花の中心部分が白いことが特徴

キランソウ(シソ科キランソウ属)

 別名:地獄の釜の蓋

ユキツバキ(ツバキ科ツバキ属)

 雄しべの筒部(合着部)は全く無いか全体の1/5以下です。

コバノガマズミ(ガマズミ科ガマズミ属)

 葉腋に針状の托葉

ツルタチツボスミレ(スミレ科スミレ属) 

 匍匐茎を伸ばし新株を形成します。主にブナ帯

ニシキゴロモ(シソ科キランソウ属)

 キランソウに比べて花冠の2つに分かれた上唇が2~3mmと大きい。キランソウは1mm程度と小さい。
 ニシキゴロモは日本海側に多い種類

ユキグニミツバツツジ(ツツジ科ツツジ属)                  

 葉柄が短く毛が無い

ウリカエデ(ムクロジ科カエデ属)

 花は薄緑色から黄色に変わる。

「琵琶湖工事事務所中河内雨量観測局」を発見!! 


オオウラジロノキ(バラ科リンゴ属)

 特徴:棘、葉裏が白毛、葉柄が長い

マルバマンサク(マンサク科マンサク属)

 実がハート


ミズナラ(ブナ科コナラ属)

 新芽!!

オオカメノキ(ガマズミ科ガマズミ属)

 透けて見える葉が美しい?

滋賀県と福井県の県境にある旧郵政省が建てた?

イワガラミ(アジサイ科アジサイ属)

 葉っぱはウリの香り...

ナツツバキ(ツバキ科ナツツバキ属)の大木

 鮮やかなこれぞナツツバキの樹皮を見ることができました!!

ヤママユの繭を発見!色艶のいい生糸でした!!


ノヒラトビモンシャチホコ(シャチホコ科Drymonia属)

 翅がしっかり伸び切らずに飛べない状態のものだったようです。

シハイスミレ(スミレ科スミレ属)

 鮮やかな紫❁

傘が黒光りしています!怪しげな色のキノコ


その他
ニリンソウ(キンポウゲ科イチリンソウ属)、ヤブカンゾウ(ワスレグサ科ワスレグサ属)、セイタカタンポポ(キク科タンポポ属)、ムラサキケマン(ケシ科キケマン属)、ヤマエンゴサク(ケシ科キケマン属)、ショウジョウバカマ(シュロソウ科ショウジョウバカマ属)、ブナ(ブナ科ブナ属)、リョウブ(リョウブ科リョウブ属)、カンアオイSP(ウマノスズクサ科カンアオイ属)、シライトソウ(シュロソウ科シライトソウ属)、ナナカマド(バラ科ナナカマド属)、コアジサイ(アジサイ科アジサイ属)、コシアブラ(ウコギ科コシアブラ属)、ハウチワカエデ(ムクロジ科カエデ属)、ヒトツバカエデ(ムクロジ科カエデ属)、オオカニコウモリ(キク科コウモリソウ属)、ワサビ(アブラナ科ワサビ属)、エンレイソウ(シュロソウ科エンレイソウ属)

○野神の湿地

オオタチツボスミレ(スミレ科スミレ属)

 特徴:距が白い

ミヤマハコベ(ナデシコ科ハコベ属)

特徴:5枚なのに10枚の花びらに見える。

その他
ザゼンソウ(サトイモ科ザゼンソウ属)、コチャルメルソウ(ユキノシタ科チャルメルソウ属)、ハルトラノオ(タデ科イブキトラノオ属)、ミヤマカタバミ(カタバミ科カタバミ属)、ナツエビネ(ラン科エビネ属)、トチバニンジン(ウコギ科トチバニンジン属)、スギ(ヒノキ科スギ亜科スギ属)、ケヤキ(ニレ科ケヤキ属)、カツラ(カツラ科カツラ属)

お天気に恵まれ、美しい新緑を見ることができた研修会でした。
沢山の花や植物に出会えました!!

庄野嶺601mにて

《令和元年度 活動実績》


topics
令和元年度第回研修会(高取山ふれあい公園) 2019.11.17
報告者 関澤 友規子
快晴に恵まれた晩秋の1日に高取山(612)を山頂までの全コースを歩きました。この日
見られた落葉広葉樹の「紅葉」を幾つかの色に分けての報告とします。 参加者5名

☆ 赤色・オレンジ色・ピンク色
ヤマモミジ、ホツツジ、アマヅル、ウスノキ、ナツハゼ、ヤマウルシ、ミヤマガマズミ、コバノガマズミ、コバノミツバツツジ、カマツカ、ガンピ、ネジキ、ウリハダカエデ、ウリカエデ、ヌルデ、ナナカマド、ウワミズザクラ

 
ヤマモミジ 
 
 
アマヅル

 
ウリハダカエデ

 
ウスノキ

☆ 黄色・レモンイエロー
  クロモジ、シロモジ、ダンコウバイ、タカノツメ、コシアブラ、タマミズキ、ノリウツギ、キリ、カナクギノキ、サルナシ、ヤマナラシ、アカシデ、クマノミズキ、アワブキ、カラスザンショウ、タムシバ、マンサク、コアジサイ、ウラジロノキ、イタヤカエデ


カナクギノキ


ヤマナラシ


アオハダ


アワブキ

☆ 黄土色・茶色
イヌブナ、コナラ、ミズナラ、ナラガシワ




☆ まだ緑色
 ヤマコウバシ、イヌシデ、ノササゲ、ヤブムラサキ




☆ 既に落葉
リョウブ、イヌザクラ、ナツツバキ、ホオノキ、アカメガシワ

☆ 他に見たもの
フデリンドウのロゼット、バイカオウレンの花、アケボノソウの花、スギヒラタケ、
クチベニタケ、ツチグリ、ガンクビソウの花、シロヨメナの花、センブリの実、
センボンヤリの綿毛、ツルリンドウの実、サルトリイバラの実、ヤブムラサキの実
カモシカ、猿の糞?(カラスザンショウの種入り)、イタチの糞、セアカツノカメムシ
    ツルリンドウの実


カモシカ2匹           

1k413セアカツノカメムシ♂
 

フデリンドウのロゼット      


まだ咲いてたアケボノソウ


 1k、


《平成30年度 活動実績》


topics
平成30年度 緑の少年団活動交流会(in希望が丘青年の城) 報告
 2019.2.23


県内の緑の少年団が集まり、お互いの交流を深め合うことにより、さらに活発で有意義な緑の少年団活動につなげることを目的として、去る平成31年2月23日(土)に、竜王町の「滋賀県希望が丘文化公園青年の城」において「緑の少年団活動交流会」(滋賀県緑化推進会主催)が実施されました。
今年度は、県内から4団体、団員をはじめ指導者や保護者約50名の他、スタッフ総勢16名(内滋賀会9名)が一堂に会して、楽しく有意義な1日を過ごしました。
私たち滋賀森林インストラクター会も、かねてより支援活動の一環として本事業に携わり、午前中の「自然観察」と午後からの「ネイチャークラフト」の指導を担当しました。 
早春の陽光の下、希望が丘文化公園の特色のひとつである花崗岩質の貧栄養土壌の自然環境下に自生する樹木の他、「モウセンゴケ」等の湿地性植物に目を向けながら、子どもたちは予め配布した「フィールドパターンカード」をもとに、自らが自然界にある様々な形を発見しながらカードに記入する参加スタイルを取り入れました。これにより、自然観察に「遊び」の要素が加わり、自分自身の目で身の回りの自然環境の面白さや不思議さを発見するなど、活動中には子供たちが主体的に活動する姿を見ることができました。
午後のプログラムは、「ネイチャークラフト」づくりに取り組みました。今回は、干支の(1)「マツボックリを使ったイノシシ」と(2)「小枝を使ったイノシシ」の2種類のネイチャークラフトの何れか一つの作品づくりに挑戦しました。
(1)が下学年向き、(2)が上学年向きと考えて、予め各々のパーツ一式の入った袋を準備しましたが、子どもたちが選んだのは学年に関係なく(2)が多く、少々驚きました。この辺の選択については、子どもたちと大人の感覚のズレで大変興味深く感じました。しかし低学年の子どもたちには、滋賀会や県のスタッフ、各団体のリーダーが適宜サポートしたため、全員が無事作品を完成することができました。
出来上がった作品を見ると、見本に忠実に作り上げるだけでなく、各所に各自のオリジナリティが発揮されていてどれも楽しい作品となっています。
今回の事業を通して、滋賀森林インストラクター会のチームワークの良さを再確認することができました。




topics
『緑の少年団個別指導 冬の活動 皇子が丘公園』報告  2019.1.26
 平成30年度の緑の少年団個別指導は5回実施され、今回が最終です。
今回は、大津市緑の少年団の卒団式のイベントとして自然観察と落葉パウチづくりをしました。場所は、大津市の皇子が丘公園と体育館の大会議室。大津市の職員さんにはお世話になりました。
 大津市緑の少年団の個別指導は、昨年度6月に引き続き、今年度は2回実施、1回目には11月に長良公園で自然観察とネイチャーゲームをしていますので、子どもたちと森林インストラクターは顔なじみです。
 天気予報では大雪が心配されましたが、なんとか細雪程度で済み、みんな元気に自然観察や落葉拾いができました。
 拾った落ち葉は濡れ落ち葉・・・でも今の季節ながら色鮮やかな葉っぱを拾うことができましたので、色や配置を工夫しながら作ったパウチは、卒団のいい思い出になったことと思います。これからも、森や生き物に親しくつきあっていただけたらと願っています。

下見 1月10日実施 
「資 料はこちら」
日程 9時30分集合、9時40分から10時50分自然観察、11時から12時30分パウチ作成
参加 緑の少年団員 27名(男子19名・女子8名、2年生4名・3年生13名・4年生4名、5年生2名、6年生4名)
   滋賀森林インストラクター5名 大津市職員他




topics
平成30年度第3回研修会(高取山ふれあい公園) 2018.10.28
報告者 小西 民人                         
行 程
近江鉄道多賀大社前駅9:20集合―高取山ふれあい公園9:45 公園発10:00…(ドングリコース)…展望台13:10(昼食)13:50…高取山山頂612m 14:00…林道合流14:40…公園着16:10 解散
   
今回の研修場所は、緑の少年団指導者研修会の会場の一つである高取山とし、あまり人が利用していない山頂を巡るコースを歩くこととしました。参加者に会員の中川さんからの紹介でフォレストワーカーの馬場さんが加わり、初心に戻った気持ちで一つ一つ確認しながらの研修が行えたように思います。ホオノキの大木などが育ち多様性も豊かで、様々な果実・虫こぶなど秋ならではの出会いも多かった研修会でした。以下、写真に収めたものを順に紹介します。
 
1、コウヤボウキ キク科コウヤボウキ属
小低木。経済性のある竹が使えない高野山の山寺でこれの乾燥したものをまとめて縛り、箒とした。


2、フユイチゴ バラ科キイチゴ属
常緑のキイチゴの仲間で最も普通。秋に白い花を咲かせ、11月頃に赤いイチゴ果を熟す。甘くて美味。


3、センブリ リンドウ科センブリ属
全草に強い苦味があり、苦味健胃薬として利用。千回振り出してもまだ苦いところからセンブリ。花崗岩質などの貧栄養の明るい草地に多い。


4、ツルアリドオシ アカネ科ツルアリドオシ属
梅雨の頃に白い筒状の花を2つ並べてつける。2つの花で1つの実になる。実の頂に2花の跡が残る。「一両」の縁起もの。


5、ナラハヒラタマルタマフシ
ナラハヒラタマルタマバチの寄生による虫こぶ。コナラなどの葉の表裏の葉脈上につく。ハチは虫こぶが地上に落下してから脱出する。つかれた葉はコナラ。


6、ルリタテハの幼虫
サルトリイバラなど旧ユリ科が食草のタテハチョウの仲間。


7、ナツハゼ ツツジ科スノキ属
落葉低木。葉や枝に硬い毛が多く、手で触るとざらつく。7月頃、赤みを帯びた黄緑色の壺状の花を下向きにつける。実は秋に黒く熟し、甘酸っぱい。


8、カマツカ バラ科カマツカ属
葉はやや硬い質感で、洋紙質と呼ばれる。短枝がやや発達し、数枚の葉が束生する。果柄にいぼ状の皮目がある。枝に粘りがあり、鎌の柄や牛の鼻輪に利用。別名「牛殺し」。


9、コバノガマズミ マズミ科ガマズミ属
落葉低木。葉の両面に星状毛があり、触るとふわふわする。ガマズミの仲間では唯一葉のつけ根に針状の托葉を持つ。赤く熟した実は酸っぱい。果実酒に利用される。


10、ヤマナシ? バラ科ナシ属
葉の鋸歯、葉の大きさ・形、葉柄の長さからヤマナシと推定したが、合っているだろうか? ナシの原種。


11、イチイガシ ブナ科コナラ属
九州など暖かい地方に成育し、ここのものは植栽。葉裏に黄褐色の毛が密生し、やや茶色っぽく見える。材は優秀で、「一位樫」の名。


12、ヌルデ ウルシ科ヌルデ属
青空に映えるヌルデの紅葉。遠くからでも、葉軸の翼と小葉の鋸歯が確認できればヌルデと分かる。


13、ヤマコウバシ クスノキ科クロモジ属
枝や葉をちぎるとよい香り(山香)。冬でも枯葉が木についたまま。花芽・葉芽でなく、混芽のみ。雌雄異株だが、雌株しかない。などの特徴を持つ。若葉は保存食「トロシバ」。


14、シキミと虫こぶ(シキミハコブフシ) マツブサ科シキミ属
葉は枝先に集まってつく。その先にあるのが花芽で、早春に黄白色の花をつける。葉をちぎると甘い芳香がある。この匂いをイヌ科が嫌うので土葬の際死者のまわりに入れた。全草猛毒。特に実。葉につく虫こぶはシキミタマバエによる。


15、ホオノキ(大木) モクレン科モクレン属
葉は単葉としては日本産樹木最大級。5月に径20cmを超す大きさの白い花をつけ、あたりに芳香を漂わせる。葉は朴葉味噌や朴葉餅などに利用。材は軟柔で狂いが少なく、下駄や刀の鞘などに使われる。


16、スギヒラタケ? キシメジ科スギヒラタケ属
スギの古い切り株などに重なり合って発生する白いキノコ。以前は優良な食菌であったが、2004年日本海側を中心に腎臓疾患の人がこのキノコを食べて脳炎になり、死亡する例が多発。以降毒キノコとされる。


展望台にて。彦根市を背景に。竹生島、多景島、沖島、三上山も。


展望台から北に目を転じると、霊仙、伊吹、金糞の山々が。ここで昼食。


17、ヤブコウジ サクラソウ科ヤブコウジ属
常緑の小低木。葉は枝先に3~5枚輪生状につく。11月頃赤い実をつけ、「十両」として縁起ものとされる。


18、キッコウハグマ キク科モミジハグマ属
山地の木陰に生える。葉は亀の甲羅の形に似る(亀甲)。花は頭花で3個の白い小花からなり、雌しべは3つある。花冠の先はねじれており、江戸時代の参勤交代で槍の穂先にヤクという動物の毛で作った飾りをつけてそれを回しながら進んだ。ヤクの毛を白熊(はぐま)といい、回した時の形に似ていることから飾りをはぐま、この花の仲間にもハグマの名前がつけられた。先の尖った蕾のようなものは閉鎖花。


19、オニグルミの葉痕 クルミ科クルミ属
落葉樹は離層ができて葉を落とすと、いろいろな形の葉痕が現れる。オニグルミの場合はヒツジの顔に似る。2つの目と鼻の部分は維管束の痕。


20、ミヤマガマズミ ガマズミ科ガマズミ属
コバノガマズミに比べて、葉は大きく鋸歯が粗い。表面の毛もほとんどなく、光沢が強い。托葉もない。実は同じように果実酒に利用できる。


21、ヌルデの実
ヌルデは実が成熟するとそのまわりに白い物質を分泌する。成分はリンゴ酸カルシウムで嘗めると塩辛くて酸っぱい。地方によってはこれを塩の代用とし、シオノキと呼んだ。鳥はこれから塩分補給をしている。


22、ヌルデの虫こぶ
ヌルデの葉にはいくつかの虫こぶがつき、これはその一つヌルデミミフシを割ったもの。この虫こぶはお歯黒を作るのに利用される。中の黒っぽいものは羽化したヌルデシロアブラムシ。この後抜け出し、コケ類に移る。


23、キミズミ バラ科リンゴ属
冷温帯のやや湿ったところに生育。葉は不分裂葉から3つに分裂したものまで多型。3分裂葉の場合ミツバカイドウの別名が。実から別名コリンゴとも。普通実は下の写真のように赤く熟すが、ここのものは黄色く熟すので「黄実酸実」。



24、ナツツバキ ツバキ科ナツツバキ属
冷温帯に生育するもので、ここのものは植栽。夏に白い一日花をつけ、無情に散るところから、釈迦の涅槃時にその周りにあった沙羅双樹の代用として寺院に植栽される。樹皮が剥がれて美しい斑模様になり、床柱などに利用される。


25、ネズミサシ ヒノキ科ビャクシン属
アカマツが生えるような貧栄養の花崗岩地などに多い。ネズミの通り道に置くと侵入を防ぐほど葉が鋭いというのが和名の由来。雌雄異株。写真は若い球果と成長した球果(球形で合着した白い線が見えるもの)。




下の写真はネズミサシの虫こぶで、チョウチンタマバエによって作られる。名前はネズミサシメチョウチンフシ。



topics
『山を活かす!山を守る 山に暮らす交流会』報告 2018.10.13

 10月13日(土)、長浜市余呉町のウッディパル余呉において滋賀県主催の『2018山を活かす!山を守る 山に暮らす交流会』がありました。和太鼓や地元中学生の吹奏楽、川本勇氏のバンドのステージ発表、チェーンソーアート、ベンチづくり競技会、ファザーフォレストを考えるシンポジウムなど盛りだくさんの内容でした。
 滋賀森林インストラクター会では、インストラクター会の活動の様子や、今年の研修テーマである危険生物の展示、押し葉のパウチシートづくりやタラヨウの葉の名札づくり体験、遊具「ドングリころころ」のコーナー、きのこ汁の販売を行いました。
 押し葉のパウチシートづくりには、親子連れが多く来られ、それぞれお気に入りの葉を選んで、動物や顔を作っておられました。透明なシートなので葉脈が観察しやすく、特に日に透けたタカノツメの葉の美しさに感嘆の声が上がっていました。
 タラヨウの葉の名札づくりでは、木の棒で描いた線がだんだんはっきりと浮き上がる様子に驚いておられました。できあがった名札を首に掛けて笑顔で写真を撮っておられました。
 「ドングリころころ」コーナーは今年も大人気でした。特に小さなお子さんは、どれだけ遊んでも遊びたりない様子でした。大きくて丸いドングリや自分が働きかけて動くもののもつ魅力を改めて感じました。
 きのこ汁は会員有志の方々が、大量の材料をあらかじめ切ってくださっており、用意がスムーズにできました。お世話になりありがとうございました。大鍋で煮込まれた豚肉入りきのこ汁には、たくさんのお客様が来られ、12時半には完売となりました。野外でいただく温かい食べ物の味は格別だったことでしょう。
 インストラクター会の研修会の写真をご覧になり、説明を聞いて熱心に質問をされる方もおられ、森の生態系の不思議や当会の活動に興味を持ってくださったようでした。実際に現地で研修をし、自分の言葉で語る的確な説明には説得力があります。私事ですが、今後も研修を積み、森林インストラクターとしての資質や能力の向上に努めていきたいと強く思いながら、帰途につきました。ご参加いただいた皆様、お疲れ様でした。
(野村祐美子)





topics
平成30年度第2回研修会(河辺いきものの森) 2018.8.12

河辺いきものの森は、愛知川沿いに広がる「河辺林」で、全国的にも珍しい平地の森です。
かつては水害防備や薪柴を採取する人々の暮らしに身近な里山の姿でしたが、時代の流れとともにその役割がなくなり、管理が放棄されるなどして植生が進んだり、竹に覆われるなどしていったため、市民ボランティア団体が里山保全活動をはじめ、現在も継続して行われています。(パンフより)

この日、立秋は過ぎていましたが、今年の異常な猛暑はまだまだ衰える気配もなく、集合場所の駐車場から、熱気で萎えそうな気持ちを奮い立たせて出発しました。
森の入り口で、アオナラガシワの葉に①ノシメトンボ、向かいのクマノミズキに②アゲハモドキを見つけました。「アオナラガシワは、ナラガシワの変種で葉裏に毛が少なくて白っぽいのだが、これはコナラと交雑しているかも?」と小西さん。ブナ科のコナラ属では交雑が結構多いそうです。さらに③ミソナオシなどという変わった名前の草状の小低木もありました。また、この池で発生したのでしょうか、小さな池の周辺にたくさんの④ハグロトンボがとまっていました。

①ノシメトンボ トンボ科 河川や湿地、水田、池などの周辺でみられる 翅の先端が褐色


② アゲハモドキ  アゲハモドキ科 丘陵~山  蝶のジャコウアゲハに似るが、触覚の先が玉状でないことで識別 蛾の仲間


③ ミソナオシ  マメ科 ヌスビトハギ属 低山地の林縁や道ばたに生える小低木 3小葉で互生 葉柄に狭い翼がある 葉の表面に光沢 


④ ハグロトンボ  カワトンボ科 河川とその周辺の草原や林で見られる


ようやくネイチャーセンターに到着し、一息ついて観察路に出発です。
今回の研修も、9月9日開催の「緑の少年団指導者研修会」の下見を兼ねています。
まず、研修テーマの危険生物について、見られたのは、触れるとかぶれる⑤ヤマハゼ、⑥ツタウルシ、ヌルデでした。ヤマウルシは見かけませんでした。
ほかに主だった木本としては、シラキ、アラカシ、シラカシ、コナラ、クヌギ、ケヤキ、アベマキ、カマツカ、コマユミ、ゴンズイ⑦⑧、タラノキ、メダラ、ケンポナシ、カゴノキ、イタヤカエデ、ヤマモミジ、つる性植物のヒメドコロ、イタビカズラ、草本では、⑨タコノアシ、絶滅危惧種の⑩ハイハマボッス、エビネ、ヨウシュヤマゴボウ、オオバギボウシ、水辺にヒメガマ、コカナダモなどを観察しました。

⑤ ヤマハゼ ウルシ科ウルシ属 奇数羽状複葉 小葉は4~8対 全縁


⑥ ツタウルシ ウルシ科ウルシ属 三出複葉小葉は3枚 つる性の木本 幼い葉には鋸歯がある


⑦ ゴンズイ  ミツバウツギ科 ゴンズイ属 奇数羽状複葉が対生する 小葉は3~4対 熟すと裂けて黒い種子を出す 果皮はふつう赤く熟す


⑧ ゴンズイ  果皮が熟しても白いもの


⑨ タコノアシ  ユキノシタ科タコノアシ属 湿地に生える多年草 花や実がびっしり並んだ花序を吸盤の多いタコの足に見立てた まだ花も付いていない時期にはわかりにくい


⑩ ハイハマボッス サクラソウ科 ハイハマボッス属 海岸に近い湿地や、内陸部や沼のほとりに自生する多年草 準絶滅危惧種


今回の研修は暑さの厳しい日でしたが、見慣れない植物がいろいろありました。また、動けない植物たちの猛暑対策を垣間見た気がします。森の中とはいえ、地面も乾ききっていて、どの樹木も葉が垂れ気味だったり、枯れそうだったり・・・でも、よくよくみると、葉をくっつけながら垂らしているアオキ⑪は、蒸散を防ぐ作戦のように見えます。どの葉もクルリと巻いているササ⑫は乾燥した結果なのか、表面積を小さくしてやはり蒸散を最小限にする作戦なのか、そして枯れそう!に見えたウワミズザクラは無駄な抵抗はせずに早々に葉を落として、来年のために力を蓄えているのかもしれません。そうした植物たちの生き残り作戦に感心した1日でもありました。
                                  (文責 橋木啓子)

⑪ アオキ アオキ科 アオキ属 常緑低木 雌雄別株 葉は対生


⑫ ササ



topics
平成30年度第回研修会(ビラデスト今津) 2018.7.22
*天 候:快晴
*行 程:JRマキノ駅9:30集合―ビラデスト今津・であいの館スタート10:20
     みどりの広場(セラピーロード平池コース)―平池着12:10(昼食)
     平池発13:00―はつらつ広場(セラピーロード終わり)―展望台―
     であいの館着14:30(反省会・解散15:00)

標高約550mに位置する「ビラデスト今津」において、今年度第1回目の滋賀会定例研修会が実施された。当日、平地での最高気温は35℃を超す猛暑日であったが山頂での研修で下界よりも数度気温が低いことと、カラッとした涼しい風のおかげで思いの外過ごしやすく快適な現地研修となった。
当地は、毎年夏期のこの時期に行われている「緑の少年団指導者研修」の開催場所のひとつだが、湖西地方の山上にある自然環境に恵まれた「ビラデスト今津」の魅力は残念ながら未だ滋賀会全員には認識されてはいないのが現状である。
そこで今回、8/21(火)の「緑の少年団指導者研修」に先立ち、「ビラデスト今津」を舞台に現地研修を通して、当地の自然環境を幅広く知ることと我々滋賀会会員一人ひとりの資質の向上を目的として本研修が行われた。
1、ヒカゲノカズラ(常緑性シダ植物)ヒカゲノカズラ科ヒカゲノカズラ属
夏期に茎から直立した細い茎を伸ばして、上部に2~4個の「胞子のう穂」をつける。黄色い胞子が煙り状に飛び散る。生薬「石松子」


2、ヤブデマリ レンプクソウ科ガマズミ属
果実は液果で、8~10月頃に赤くなり、花序の枝も赤くなる。晩秋には黒色に変わる。「二色効果」


3、ウリハダカエデ ムクロジ科カエデ属
若木は、暗緑色に黒い縦縞が入り、菱形状の皮目が点在。枝は緑色で無毛。大きめの翼果、2枚の翼果は斜めに開く。


4、ジュズスゲ(数珠菅)カヤツリグサ科スゲ属
林縁、林道の湿った場所やため池畔に生える多年草。


5、コツブアメリカヤガミスゲ カヤツリグサ科スゲ属
北アメリカ原産。牧草地などの草地に生育する。牧草種子に混入して持ち込まれたと推測される。2002年に北海道で初確認の新参者。


6、ナナカマドを食葉するキバラケンモンの幼虫
バラ科樹木の食葉性害虫のひとつ。


7、コハウチワカエデ ムクロジ科カエデ属
ミズナラ、ブナ林に多く見られる。「ハウチワカエデ」のような円形の葉身で、一回り小さい。葉柄と葉身が同じくらい長いのが特徴。


8、エゴノキ エゴノキ科エゴノキ属
果実は有毒成分の「エゴサポニン」を含む。石鹸の代用や魚毒として利用。果実の中の種子をヤマガラが好む。取った種子をすぐ食べるだけでなく、一旦地中に埋めてから後で食べる行動も見られる<貯食型種子散布>


9、ホウノキ モクレン科モクレン属
葉も花も20㎝以上になる。大型(日本で最大)


「びわこ水源の森たかしま セラピーロード平池コース」に入る。


10、カナクギノキ クスノキ科クロモジ属
西日本に分布し、葉が長くて先端に近い部分で幅が最大になる。樹皮に見られる「鹿の子模様」から、「かのこぎ」がカナクギの語源。



11、ウワミズザクラ バラ科ウワミズザクラ属
果実は液果。熟すと甘い。少しずつ黒色に熟す「二色効果」。小枝は節くれだってジグザグ。


12、シカの角研跡(ホウノキ)
雄ジカの角が生えてきた初期は袋に包まれた柔らかい角(袋角)で、発情期に角が堅くなってきた頃、木にこすりつけて袋を取ると同時に角の先を研ぐ行動を取る。縄張りという説もあるようだが確かではない。


13、デンジソウ デンジソウ科デンジソウ属(環境省絶滅危惧Ⅱ種)
シダ植物。四つ葉のクローバ状の形。葉が田の字形に並ぶため「田字草」の名前がつく。



14、ツタウルシ ウルシ科ウルシ属
ウルシ科なので、樹液にふれるとかぶれる<ウルシオール>。三出複葉のつる性木本。


15、サワフタギ ハイノキ科ハイノキ属
実は直径7~8㎜で、美しいコバルト色に熟す。別名:ルリミノウシコロシ


16、イワヒメワラビ コバノイシカグマ科イワヒメワラビ属
葉身は三角状長楕円形の3回羽状複葉。「シカ不嗜好性植物」


17、キタヤマブシ キンポウゲ科トリカブト属
トリカブトの一種で全草有毒。根茎は猛毒の「アルカロイド」を含む。林縁等に多く、茎が斜めに伸びる。(*イブキトリカブトは直立)


18、キハダ ミカン科キハダ属
山地で湿り気のある林内に生える。葉は「奇数羽状複葉」で対生、小葉2~6対。キハダの黄色い内皮からは苦味健胃薬「陀羅尼助」を作る。成分は「ベルベリン」。


19、オオモミジ ムクロジ科カエデ属
ヤマモミジの母種で、葉の鋸歯が単鋸歯様で揃っている。葉は対生し、帯状に7~9裂する。


「カキツバタ」の花の時期が終わった、7月下旬の「平池」の様子  


20、タンカイザリガニ
北海道で特定外来生物に指定されたウチダザリガニと同種。淡海湖の「固有種」で「特定外来生物」(2006年2月に追加指定)。「保護される対象でもあり、駆除の対象でもある存在」という特殊な位置づけ。


21、ミズオトギリ オトギリソウ科ミズオトギリ属
池、沼、湿原に生える。花は午後に開き、夕方には閉じる「一日花」。葉には、白っぽい「明点」が多く見られる。他のオトギリソウの仲間と違い、花の色は赤い。


22、ハウチワカエデ ムクロジ科カエデ属
葉柄は短く、葉身の2分の1以下。葉柄は有毛で、葉は対生して径は7~12㎝と大型。葉は掌状に9~11裂する。


23、ツノハシバミ カバノキ科ハシバミ属
林縁等で株立ちし、枝を横へ長く伸ばす傾向あり。花序は1~4個が集合し、総苞がくちばし状に伸びる。総苞の中に1つの堅果が入る「和風ヘーゼルナッツ」。


24、サンカクヅル ブドウ科ブドウ属
葉は長さ4~10㎝で、三角形。液果の直径は7㎜くらいで、食べられる。別名:「ギョウジャノミズ」


25、ミズメ カバノキ科カバノキ属
樹皮や材観がサクラに似ることから「ミズメザウラ」とも呼ばれる。枝を折ると「サロメチール」<サリチル酸メチル>の臭いがする。別名:「アズサ」、「ヨグソミネバリ」


参加者の集合写真


展望台からびわ湖を望む


その他、観察できた植物
ヌルデ、オオバクロモジ、ネジバナ、ヒメヤシャブシ、マムシグサの一種、クマシデ、ブナ、イソノキ、コシアブラ、トウダイグサ、ヤマボウシ、オオカメノキ、ヤマウルシ、ミズナラ、リョウブ、マルバマンサク

今回の研修は、8/21(火)に実施予定の「緑の少年団指導者研修会」の下見を兼ねている。今年の研修テーマは、「森の危険生物について」であり、最初に準備した研修資料をもとに説明後、実際にフィールドを歩きながらヤマウルシ、ヌルデ、キタヤマブシ等の危険植物はもとより、ドクガやハチ類等の昆虫にも焦点をあてて解説しなければならない。参加者にわかりやすく、今後の各団での指導に活かしてもらえる研修とするため、今回の滋賀会定例研修会はその一助になったのではないかと考える。
(文責 下川茂)


topics

「大砂川の森整備活動」(in湖南市三雲)

 平成30年5月20日(日)、本年度も「大砂川の森」整備活動が始まりました。滋賀会理事安田浩一さんのリーダーシップで毎月第3日曜日に開催する計画です。今回は地元ボランティアの方々を含め17名が、新緑が美しい「大砂川の森」の整備活動に参加しました。滋賀会からは安田さんと梶谷副会長と事務局の高橋が参加しています。
 今月の活動は、仮設のテント周辺の広場の拡張と森の入口に設置する看板の作成です。ヒノキの林に侵入し繁茂している竹を伐採し、広場を少し広げました。休憩時間には焚火で炒ったポップコーンを頬張り、お茶をいただき、和気あいあいの整備活動です。
 安田さんから仮設テントに代わる小屋を森の木を使って建てる計画が紹介されました。「大砂川の森」の完成像が徐々に描かれていくのが楽しみです。






「緑の少年団活動交流会」の支援活動(in休暇村近江八幡)

平成30年2月24日(土)、休暇村近江八幡(近江八幡市)において、公益財団法人 滋賀県緑化推進会 により「緑の少年団活動交流会」が開催されました。
「緑の少年団活動交流会」は、県内で毎年、この時期に実施されており、滋賀森林インストトラクター会は、平成22年度から指導という形で、協力させていただいています。
今年度は、県内各地から緑の少年団5団体、74名の緑の少年団員等が参加されました。
滋賀会は、多かった積雪もほとんど解けて春を待つばかりの自然休養林周辺の自然観察や、ネイチャークラフトづくり(押し葉のパウチ・木片工作)のインストラクトをしました。
団員の皆さんは、積極的に参加していたただいていたようでしたし、各団からの一年間の活動報告も楽しんで活動されている様子がよくわかりました。
また、昼食時には、滋賀会特製の豚汁を食べていただくことを恒例にしており、いつもなかなかの好評をいただいています。






《平成27年度 活動実績》
   
詳細は、会報をご覧ください。

活動報告

活動名

ここに活動の説明が入ります。

ここに活動の説明が入ります。

ここに活動の説明が入ります。